2019年04月30日

焼酎銘柄に隠された「過去」

韓国から

 会社員やOLたちがアフター6(韓国の退勤時刻は18時)の会食に好んで食する代表的なもの――こう韓国人に尋ねれば誰しもがサムギョプサル(豚バラ肉)と焼酎の組み合わせを思い浮かべるだろう。

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 筆者も取材相手から深い話を聞き出したい時、この人気メニューに誘うことが多い。こんがり焼き上がった豚肉を一口サイズにハサミで切り、薬味と一緒にサンチュ(包み菜)に包んで頬張る。その合間に小さな専用グラスで焼酎を飲み交わすのだ。

 韓国焼酎と言えば若干辛口の「チャミスル(澄んだ露)」と若干甘口の「チョウムチョロム(初めてのように)」の2種類でほぼシェアを占める。日本の焼酎に比べ銘柄の数は少ないが、その分、どの銘柄も認知度は抜群に高い。

 先日、長く公安関係の仕事をしてきた方と会食した時は「チョウムチョロム」が出され、その銘柄が酒の肴になった。なにせ銘柄名のハングル文字を書いたのが1960年代に韓国で起きた北朝鮮と内通する地下組織事件に関わり無期懲役となった元陸軍士官学校教官だったからだ。後に思想転向して出所し、自分の心境を記した揮毫(きごう)が銘柄に採用された。銘柄にはちょっとしたドラマが隠されていた。

 「こんな銘柄を出されちゃ悪酔いしてしまう」と彼が真顔で言うので、こちらは仕方なく「銘柄には罪はないでしょう」となだめるしかなかった。やっと苦笑いしてくれたので一安心し、「次はチャミスルでやりましょう」と約束して別れた。

(U)

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sekai_no_1 at 14:43│Comments(0)

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